2006年04月11日

アスリートのためのエクササイズ〜フロントスクワット〜

(このコラムは、山本さんの過去の記事をもとに作成しています。)

今回はまた下半身に戻り、あまり一般的には行われない種目である「フロントスクワット」をご紹介しようと思います。
これはボディビルダーが大腿前部を特に刺激するために行う種目なのですが、やり方に少し工夫を加えることで、アスリートにとって非常に有用な種目とすることができます。

■ 下半身の重要エクササイズ その2 〜フロントスクワット〜

フロント、というのはバーベルを身体の前で担ぐということです。
つまり普通に行われるスクワットは、実は「バックスクワット」という呼び方もあり、これに対して身体の前にバーを担いでやるスクワットをフロントスクワットと呼ぶことになります。

一般的に行われるフロントスクワットは、上体を直立させたまましゃがみ、膝を前に出すようなフォームになります。
このときはハムが使われず、大腿四頭筋に主な刺激が行くため、ボディビルダーは大腿前部を特に強くしたい場合、この種目を行うわけです。

しかし競技能力向上を目指した場合、上体は直立させず、普通のバックスクワットと同様に行うようにします。
すなわち膝は前に出さず、腰を引いてハムの力も使うようにするわけです。
下記の写真をご覧ください。

アスリート向けフロントスクワットのやり方

このとき、バーを前に担ぐことによって重心が前方に行きます。
それに抵抗して上体が前に流れないように保とうとして、脊柱起立筋群が刺激を受けることになるのです。
スクワットというと下半身の種目のように思われがちですが、このフロントスクワットは抗重力筋を主体とした身体後面にも刺激を与えることができます。

● フロントスクワットの注意点

脚幅は腰幅よりも少し広くとり、だいたい肩幅程度を目安とします。
そしてしゃがんでいくときに、カカトから足底中央部に重心を置くようにします。
決してカカトが浮かないようにすること。
また膝を前に出さず、脛を地面と垂直に保つようにしましょう。
膝関節ではなく、股関節の屈曲と伸展で動作を行うように心がけます。
最初は無理に深くしゃがまず、できる範囲内のレンジに留め、だんだん慣れるに従って深く下ろすようにしていきます。

なかなか上手く行かないのが、肩でバーベルを保持することです。
まず手首や肩が硬い人は、なかなかこのポジションが取れません。
上記の写真のように肘が身体前方にまっすぐ出せず、肘を横に張ってしまいがちな人は、手をクロスさせてバーを担いでも良いでしょう。

下記のようになります。

手をクロスさせる方法

ただしこれだと上背部の収縮度が弱まり、効果は少々減ってしまいます。
できればストレッチをしっかりやり、オーバーグリップで行えるようにしてください。
またバーベルに圧迫されて肩が痛くなってしまう場合は、タオルをバーに巻いて行ったり、“スティング・レイ”という専用のギアを使って行うようにします。

スティング・レイ

なお動作中はハムと臀筋、そして特に背骨の両側ライン全体に負荷がかかっていることを意識するようにしましょう。

● なぜフロントスクワットなのか?

普通のバックスクワットでもそうなのですが、特にフロントスクワットでは下半身から体幹部にかけての力の連結が必要とされます。
バックスクワットでは少しくらい上体が丸まってしまったり、フォームがブレてしまったりしても立ち上がることができますが、フロントスクワットでは、そうはいきません。
常に上体の角度を正しく保っていないと、バーベルを支えることができないのです。

なおフロントスクワットは身長の高いアスリートにとっては、バックスクワットよりも効果があるとする報告もあります。

● セット数やレップス数、インターバルの考え方
筋肥大目的ではなくアスリートのパフォーマンス向上のためにやる場合、基本的にこういったエクササイズは高重量・低回数で行います。
ただしフロントスクワットは他の簡単なエクササイズに比べ、動作に習熟するための時間が必要となります。
フォームに慣れるまでは、重量は減らして多めの回数をこなし、身体にフォームをおぼえさせる必要があるでしょう。

初級のうちはセットとレップスともに多めとするようにします。
その代わり各セットでは追い込まず、余裕を持って終えるようにしてください。
またテンポはゆっくり下ろして、ゆっくり挙げるようにします。
コントロールを効かせながら行うように心がけましょう。

中級レベルになったら、セットとレップスを減らしてギリギリまで追い込むようにします。
後半、筋疲労が溜まったところでフォームを維持できるかどうかがポイントだと考えてください。インターバルは長めに取り、身体をしっかり休めてから次のセットに移るようにします。
上級になったら5レップス程度に留めて、その分だけ重量を増やします。
またテンポも早くし、下ろすときはゆっくり下ろしますが、挙げるときは爆発的に挙げるようにします。
このとき、腰の力を使って上体が前傾してしまわないように注意し、上体の角度を保って挙げることに留意してください。

さて、以上をまとめると

● フロントスクワットを行う場合のセット数、レップス、インターバルの目安

・初級者の場合
 回数:12〜15回(追い込まない)
 セット数:3〜4セット
 インターバル:2分
 
・中級者の場合
 回数:8〜10回
 セット数:2〜3セット
 インターバル:3〜4分
 
・上級者の場合
 回数:5〜6回
 セット数:2セット
 インターバル:4分

昔と違って最近ではジムでもあまり見かけることの無くなった種目ですが、パフォーマンス向上効果は抜群です。
難しい種目ではありますが、あきらめずに時間をかけて習得し、競技成績を上げるのに役立ててください。



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